病人に常識を当てはめると傷つくこともある

誰もがそうだと思いますが、病気になると精神まで蝕まれます。我慢できない痛みと言っても強制的に我慢しなければいけないので、この状態が続くとなると本当にどうしようかと思います。

私は今でこそ頻度が少なくなりましたが、学生時代は腹痛でかなり苦労しました。修学旅行も事前に辞退しました。出かけることやがんの治療法の本を読むこと、遊ぶことは本来楽しいはずなのに、友達を遊ぶことが苦痛になりました。授業中に腹痛があると、意識を他に集中させたくて腕を爪で強く刺しました。

腕には毎日その跡が残っていました。夏場には袖でその跡が隠せないので、舌を噛んで堪えました。薬は効かず、痛み止めの注射を打つほどでもなく、ただひたすら我慢する、そんな毎日でした。

そんな私が少しちくりと来たことに、医師が言った言葉があります。

「今が一番楽しいでしょ」

これがかなり効きました。10代は「普通の人」なら青春時代で楽しいことは知っています。母に比べれば大したことではないとわかっていても、楽しめないから医者にかかっているのにと、心に少し傷ができました。